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【第49号】企業規模によって経営課題が大きく変わる

 もう随分昔の話になってしまったように感じる『コロナ禍』の話です。実は未だにこの影響を受け、なかなか経済が活性化しきれない要因の一つとなっています。今回はこのような状況について記してみたいと思います。
 2019年12月初旬、中国武漢市で1例目のコロナウィルス感染症の感染者が報告され、わずか数か月ほどの間にパンデミックと言われる世界的な流行になりました。我が国においては2020年1月15日、最初の感染者が確認されました。その後全国に感染を広げ、コロナ感染症は経済に大きな影響を与え、特に飲食業・旅行業・宿泊業等にとっては壊滅的な打撃となりました。漸く2023年5月8日、季節性インフルエンザなどと同じ『5類』に移行され3年余り続いたコロナ禍は大きな転換期となるはずでした。『コロナが落ち着くと景気は回復する』この甘い期待は3年の長きに及んだ期間と、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻により大きく変わってしまいました。

①自粛による消費行動の変化はその流れのまま未だに停滞ムード。
 役所・大企業の宴会はいまだに自粛しています。
②コロナ禍で進んだリモートワークを始め、IT化により世はDX花盛り。
 働き方、仕事の進め方が一気に進化しました。落としたボールは通常垂直にはずみ手元に戻ろうとしますが、
 今回は元に戻らず全く違う方向に跳ねてしまった印象です。
③世界的な物不足は原価の高騰となり納期を長期化させています。
 価格転嫁ができない限り利益は圧縮され、下請けに負担を押し付ける大企業は利益を確保できるものの、
 押し付けられた下請けはたまったものではありません。大企業出身の日本商工会議所会頭が是正を求める程です。
④日本が抱える人口減少問題です。
 2008年1億2,808万人をピークに2024年には1億2,156万人と既に651万人減少しています。少子高齢化が重なりあらゆる業種で人手不足が課題となっています。中小企業を対象にした日本商工会議所の調査によると、2024年に賃上げ実施予定(予定を含む)企業は74.4%と実に7割を超えています。中でも企業の業績改善が見込めない状況下で、従業員の流出を防ぎ、新たな人材を確保する為に、企業を守る為、防衛的賃上げを行わざるを得ない企業が6~7割と言われます。

 日本経済全体を見ると、輸出型製造業が円安のメリットを享受し好決算。日経平均株価も2024年7月には史上最高値4万2,000円台を付けました。税収は過去最高となり表層は絶好調に見えます。マクロは良ですが、ミクロな視点からも丁寧に観察し、我々の生活に直接的に影響を及ぼす兵庫県経済の実態を抑えておくことは極めて重要と思われます。兵庫県の企業の99.8%は中小企業です。従業者の84.1%が中小企業で働いています。実はこの層が兵庫経済を担っているのです。

このような構成です。こちらが実態と言えるでしょう。5名以下が実に半数、20名以下まで広げると実に82%です。中小企業を一括りに捉えた時、20名以下の企業がほぼ8割を占めるということです。一般的に、学生や行政、マスコミの方々が思われる中小企業のイメージははるかに規模が大きな中企業が多いように感じます。2015年に放送されたドラマ「下町ロケット」に出てきた『佃製作所』はここでいう中企業で中小企業の枠を超えた立派な企業です。上述した①~④の課題は、特に5名以下の企業に大きな影響を与えています。小規模事業者は経営体力に弾力性が無く、外部環境の変化を直接受けてしまいます。帝国データバンクの集計で2024年上半期は2014年以降で最高の倒産件数、急激に増えているとの事です。地域の生活を支えている中小企業が弱ると、地域の活力は衰えます。

 日本経済は表面的には良好、しかしながら、地域を支える中小企業の実態は、規模が小さくなるにつれ厳しさが増している。今回は「企業の規模によって経営の課題が大きく変わる点」と「地域の生活と雇用を守っている小さい企業群が今弱りつつある点」について触れました。もう少し書きたいところですが紙面の都合でまたの機会とします。今回は私からの問題提起としておきます。

2024年11月吉日


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