【第30号】駐車場から神戸を元気にしよう
『駐車場から神戸を元気にしよう』 これは、イーエスプランニング(以下、ESP)が取り組んでいる大きなテーマです。単なる希望や願望ではありません。
『実現可能なモデルとして神戸から発信したい』
本気でそう考えています。このことに気づくことができたのは、東邦学園大学の森靖雄先生の教えに触れたからです。先生は、「行き詰まり状態にある日本経済を再生するには地域経済を振興させることにあり、地域経済の主要な担い手は中小企業である。そのため、地域の中小企業を活性化させることが日本経済再建の有力な手法である」と提言されています。地域経済振興の具体的な事例として商店街振興を取り上げています。この中で大型店の増加と商店街の衰退要因に触れ、地域経済に及ぼす影響を簡単なモデルで明らかにしています。
商店街地域の場合
100万円→4回転/月=400万円×12ヶ月=4800万円/年×50%=2400万円
大型店の場合
100万円→5万円×4回転/月=20万円×12ヶ月=240万円/年×50%=120万円
100万円→95万円×本部へ全額集中→全国・世界規模で一括仕入れ
商店は売上をあげると、次の商売のために仕入れを行います。その仕入れは、仕入れ先からしてみれば当然売上となります。このように初めの商店街の売上は地域の中で再投資され、各商店が相互につながる経済循環構造が生まれます。また、商店は売上の中から確保した利益で生活を営んでおり、消費者は地域内消費の大きな役割を担っています。商店街地域の場合は100万円/1店舗の売上は1年間で24倍の地域経済効果を生んでいることになります。
一方、大型店の場合は、売上は即日金融機関を通し本部会計に全額集中され、その後地方税と、パートタイマーの賃金が店舗所在地に還元されます。その際の還元率は大型店関係者の話を総合すると平均売上の5%程度ということです。地域経済効果は1.2倍に過ぎません。
この考えに触れたとき、ESPが行っている駐車場事業に当てはめると、ここでも全く同じ構造が見えてきました都市部に本社がある駐車場を利用すると、地元ナンバーの車が使った駐車料金は都市部に集められ、その後、駐車場所有者に賃料として還元されます。還元率は約60%前後です。大型店のモデルと比較するとマシですが、地元ナンバー(神戸の駐車場は95%が神戸ナンバーです)が、地元の駐車場で支払ったお金の内、40%前後が都市部に吸い上げられ、地元には60%しか戻っていないのです。サービス業の現場では、このような下請け体質のモデルが出来上がってしまっています。これで地元が豊かになるはずがありません。再投資、循環が生まれにくい構造だからです。
飲食・物販・サービスあらゆる場面でこのような状況がみられます。地元の富が、地域内で再投資され、地域循環を始めた時、同じ金額の消費であっても豊かさにおいて大きな差が生まれます。この事実を踏まえ、物・サービスを選ぶ際、便利さ、安さに加え、このお金はどこを豊かにするのかという視点で「使い分け」「棲み分け」を発信していきたいと考えています。
2021年8月吉日
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