【第24号】コロナウィルス感染症問題は駐車場ビジネスを変えるかも知れない︕︖
2020年度 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
売上前年比 | 108% | 107% | 89% | 67% | 66% | 87% |
東証一部に上場する企業で株主向けに毎月、月次速報を発表しています。全国の駐車場2万ヶ所を集計したデータです。数値は大変参考になり、弊社はベンチマーク先として桁を合わせ(百分の一)自社チェックに活用しています。この企業は、1999年上場以来続けていた成長が今期初めて最終赤字・無配になりそうだとのこと。コロナ感染拡大により大打撃を受けているようです。
全国の駐車場運営会社にしても同様の傾向であると思われます。弊社においても、駐車場部門の業績は、ほぼ正比例し厳しさは変わりません。
『駐車場のビジネスモデル』は、お客様から土地・施設を借受け、時間貸し又は月極で駐車場事業を展開するというものです。最大のコストは支払賃料です。表のように、売上げが20~30%減少すると、賃料すら払えない状況になります。売上げの減少以上に利益の減少は大きく、旅行・飲食・宿泊業界ほどではないものの、駐車場事業会社は大きな赤字を抱えていることと思われます。このような状況を打開するための方法は、原価を下げる、すなわち、賃料の減額または解約の交渉ということになります。おかれた状況(自己資本・借入れ等)により手段に多少差があると思われますが、業界最大手が全国で賃料交渉を開始したとのニュースが駆け巡っています。規模の大小を問わず、ほとんどの駐車場事業会社が土地・施設の所有者に賃料の減額を申し入れている状況です。
このような状況は、事業を任せ賃料収入を得ていた所有者から見れば、想定外のことでしょう。コロナ感染拡大による不可抗力とはいえ、そんなリスクでも業界トップ企業だから安心と信じていたのにそうではなかった。今、信用調査会社に全国から問合せの連絡が入っているとのことです。
今回所有者が感じた喪失感、空虚感は『駐車場のビジネスモデル』を変革するきっかけになるかも知れません。事業者としては少なくとも、借受ける際の賃貸借契約において、特約条項を加えることになりそうです。また肝心の支払賃料において、今後はかなり厳しい条件が提示されそうです。貸主サイドでは そこまでして貸すのなら他に方法はないものかと、直営、業務委託など模索が始まりそうです。
経営者向けのアンケート調査で、コロナの影響が落着くまでの期間への回答の多くが、半年から2年というものでした。影響は長期化が予想され、また落ち着いたとしても元に戻るわけではありません。今回のように、外部環境が劇的な変化を遂げるケースでは、これまでも新しいビジネスが生まれる転機になることが多くみられます。コインパーキングが生まれたのもバブルの崩壊という外部環境の変化でした。イーエスプランニングは変化を見極め、所有者に寄り添い、新しい提案『BPO』ビジネス・プロセス・アウトソーシングを進めて行きたいと考えています。
2020年8月吉日
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