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【第20号】『思い込み』と『決めつけ』を排除する

 衝撃を持って受け止められた『人口減少』も、既に一般的な言葉になりつつあります。
 実際我々が住む兵庫県でも、人口は2010年の5,599千人をピークに今年(2019年)には5,481千人と118千人減少しています。人口の減少は、経済のダウンサイジングをもたらします。
 ただ、大切なことはある日突然一気に変わるものではありません。地域・業種によりその進行は様々です。総論に惑わされることなく、現場・現実・現物をよく見極め、冷静に対処することが求められます。

人口減少における「駐車場ビジネス」を見てみましょう。

①車ビジネスに一番影響を及ぼすであろう、運転免許保有者の人数はどうなっているのでしょう︖
 『思い込み・決めつけ』→人口が減っているのだから、当然減っているだろう。
 『現実』→実はまだ増加しているのです。牽引しているのは、女性の免許取得者です。

②車両の登録台数はどうでしょうか︖
 『思い込み・決めつけ』→人口が減って乗る人が減るので、当然車は減っているだろう。
 『現実』→いえ、増えているのです。H30年までのデータしか確認できないのですが、対前年100.1%です。牽引しているのは軽自動車です。

 人口が減少しているのだから、当然①も②も減っているに違いない。月極が空いているのも、時間貸しのお客様が減ったのも、きっと私のところだけじゃなく、皆も減っているのだろう。そんな『思い込み・決めつけ』で納得していませんか︖
 『思い込み・決めつけ』のバイアスは事実を歪めます。真の対策は事実の確認からしか生まれません。
 今、事実を捉えた駐車場の経営者は、増加する女性・高齢運転者、また大型化した車に適応するため、従来の狭い車室から収容台数が多少減っても広く停めやすい車室に変更されています。
 また、車の盗難発生場所で39%を占めるのは契約駐車場であることを踏まえ、安全性を高めるためLEDの照明に変更したり、1万円以下で設置できるようになったカメラシステムの導入を進めています。そんな駐車場は、当然ながら今でも高い稼働率を保っているのです。このように、事実の捉え方で対策に大きな差が生まれつつあります。
 人口減少は、もうすぐ運転免許保有者、車両の登録台数の減少につながります。駐車場経営に及ぼす影響は計り知れません。ダーウィンが指摘した『強いものが生き残るではなく、変化に適応できたものだけが生き残ったのである』という言葉が当てはまりそうです。 
 変化に適応するためには、『思い込み・決めつけ』を捨て、事実を見極め正しい努力を積み上げることが求められるようです。

2019年10月吉日


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