【第19号】神戸で賄える数少ない『経済資源』
駐車場は『私的な経営資源』ですが『公的な地域資源』でもあります。
しかも利用者は、神戸ナンバーの車。サービスの提供者も利用者も神戸で賄える数少ない経済資源です。
企業を経営していくうえで大切な要素・能力を『経営資源』と言い、一般的にはヒト、モノ、金、情報を『代表的な経営資源』と呼びます。今回は経営資源の中でも『モノ』特に『土地』に注目したいと思います。
工場を造るにせよ、事務所、店舗を作るにせよ、大前提は用地があるということです。所有、賃貸を問わず用地がないことには始まりません。ですから、土地は経営資源の中でも最も重要な要素の1つであると言えます。中でも駐車場経営を行う上では土地が及ぼす影響は、経営を決定づけるくらい大切な要素です。
一方、土地は地域にとっても重要な資源です。神戸を神戸たらしめているのは、海と山に囲まれた美しいロケーションであり、その環境の中で港とともに発展し、育んできた歴史・風土です。このロケーション・歴史・風土に加え、都会と田舎の両面性を備えた150万人を擁する町のサイズを加味すると、その希少性は国内では群を抜き、世界的にも稀有な街です。今後とも神戸固有の資産であり続け、神戸ブランドの形を作る「核」であり続けます。
神戸は意外と車に依存した社会です。北区・西区に限らず、垂水区・須磨区でも一家に複数台所有するという家庭も珍しくはありません。灘区・東灘区でも六甲山や、その山麓では車は欠かせない移動手段です。実際、ハーバーランドの駐車場利用の90%は神戸ナンバーの車であり、中央区の時間貸し駐車場利用の93%は神戸ナンバーの車です。神戸の駐車場の利用者
は神戸ナンバー、すなわち神戸(またはその周辺)の在住者ということなのです。
神戸の地域資源である土地、その土地を活かし駐車場事業を行い、利用者は神戸ナンバー車であるなら、そこから生まれる経済効果は大きな意味で神戸の経営資源と言えます。
駐車場事業はサービスの提供者、利用者の両者が神戸経済圏内で完結し、循環できる数少ない事業モデルの1つであります。
人口流出が政令指定都市の中でワースト1位となってしまった神戸市の再興を考える際、神戸経済圏から首都圏に流出している経済効果をこのような視点から再検討する事も必要ではないかと考えます。
2019年8月吉日
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